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こんにちは、AKG、UC、vegemaki、です。
前回お伝えしたように、8月9日から12日までサンフランシスコにて行われた『UX WEEK 2016』への参加にあわせて、サンフランシスコにあるbtrax社を訪問してきました。その時にbtraxで話したことをお伝えしたいと思います。今回も対談形式でお届けします!

btraxとは? 

vegemaki: btraxは、日本企業がアメリカでビジネス展開をする際の市場調査・分析・戦略立案などのコンサルティングサービスを行っている企業で、リクルートもお付き合いのある会社です。コンサルティングに加え、日本の企業担当者をサンフランシスコに招き、短いものは2週間、長いものは6週間ほどかけて、サービス開発プログラムを実施しています。具体的にはサンフランシスコやシリコンバレーで活躍するスタートアップや企業家を訪問したり、最新サービスを体験したりしながらサービスアィディアを練り上げ、プロトタイプ作成・ユーザー調査を繰り返して、コンセプトを検証していくそうです。
今回、UX WEEK参加のためにサンフランシスコに行くので、「せっかくなら現地にあるスタートアップやリクルートが抱えている問題をすでに解決している会社、同じことを課題として抱えている会社を訪問して、実際に話を聞いてみたいな」と思い、何社か訪れました。そのうちのひとつがbtraxです。
UC: btraxはUXに強い会社として有名なので、UXが進んでいるサンフランシスコでどのような活動をしているのかと最新情報を知りたかったというのもありますね。
vegemaki: そうですね。あとは、日本企業の考え方の癖がどうアメリカにマッチしないのかなど、日本企業だからこそフローに乗れない理由があるのであれば聞きたいという意図もありました。

“デザイン”という概念の違い

UC: UX WEEKも通して印象に残ったのが、『デザイン』という言葉の違い。日本だとデザインは「絵を描くこと」という認識ですが、辞書を調べると「設計する」という言葉も入っています。設計という言葉も含めると、できることが広がるのではないかな、と思いました。
vegemaki: 日本でいうデザインは、手を動かして目に見える絵・グラフィック・文字を作るという認識が強いですよね。アメリカでは、目に見えるグラフィックを作るというよりは、「絵などを描く前に“どうあるべきか”を設計する」という意味で捉えているから、そもそもデザインという言葉や作業に関しての考え方が違うよね、ということをおっしゃっていました。デザインを教える人も日本だと研究者などあまり現場に出ていない人も多いね、という話もありました。
AKG: 日本の教授にはアカデミックな人が多いけれど、海外だと現場の人が教えることが多いですもんね。海外の方は往々にして狭義のデザインからステップアップして広義のデザインに。だからこそ、そもそも設計も含めてデザインするのでは、という気もします。
あと、僕が印象に残った話では、「アメリカではUXデザインの教育が進んでいる」という話。いわゆる大学もそうだけれど、社会人の学校でもデザインを学んでいる人たちに対してUXデザインのベーススキルを装着する授業を行っていると言っていましたね。
vegemaki: 日本ではデザインは美大などで学ぶことが多いと思いますが、日本の美大はコミュニケーションが苦手な人が多いのでは?という話にもなりましたね。そういう人は周りの人とのコミュニケーションが苦手だから、自分の仕事の領域を定義して、それをやり切るようにしないといけない。設計をやるとなると、周囲の様々な人とコミュニケーションを取る必要が出てくるので、それを日本でデザインを学んでいる人は苦手にしている人が多いのかもね、とも。
UC: 大学にUXデザインを学ぶ場があるというだけでなく、学ぶことも個人作業ではなく他者とコラボするものが多いため、コミュニケーションが重要になってくる。だから外に向けてコミュニケーションが取れるデザイナーが生まれるのだろう、とも言っていました。
AKG: 僕が一番印象的だったのが、「UXデザインをやるのであれば、“一気通貫”でデザインまで見られるようになったほうがいい」という話です。結構UXデザインでは「デザインの素養はいらない」という話も聞きますが、最終的にユーザーが触れるのは「もの」なので、その良し悪しを判断するためにも、デザインを学び、作れるということが非常に重要だと思います。

UXデザインの細分化

vegemaki: UXデザインを勉強してきたという人が増えた結果、「UXデザインの中の職種が細切れになってきたのかもしれない」という話もしました。UXデザイン経験者が入社してUX全体をやってくれるのかと思いきや、その一部しか勉強してなかったりすることが発生したから、そもそもの募集をUXリサーチャーとかUXストラテジストに絞ることで、そうなるのを防ごうという流れもあるのかも。
AKG: そもそも、UXデザイナーは万能すぎるという話もありますよね。UXデザインのプロセスを考えると、リサーチ・ストラテジー・デザイン・アナリティクス、となると思いますが、全部の職能を経験してきた人はいないでしょう。そして、「その人の評価をする上で分けないと評価しづらいから、評価軸ごとに職能を切ったのではないか」とも言っていましたね。
vegemaki: でも、「本来は横串でやるのがいいんだけど」とも言っていましたね。これまでは、職能で決まったものだけをやっていたから、「体験」という全体的なところが設計できていなかった。だから、横串で「体験」というものを作る人をUXデザイナーとして置こうとなったのに、そこをまた細切れにしてしまったら意味がない。
AKG: ただ、そうなると、評価する人も全部を理解していないといけないから、なかなか難しい問題ですよね。

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必要なのは、新しいプロセスを受け入れること

UC: btraxは、日本企業に向けてサンフランシスコならではのワークショップを行っているそうです。サンフランシスコのベンチャー企業に訪問して話を聞いたり、実際にプロトタイプを作ったりして、最後にピッチイベントで発表する機会を設けたり。そこでボトルネックになるのは、「日本企業はプロセスが既に決まっていることだ」という話をしていました。そして、それを崩すことができない。せっかく6週間サンフランシスコでサービス開発をするという経験から学んだことが、いざ日本に持って帰ると、上の承認を得ないといけないフローがあるため実行に移せないケースがある。そして、そのプロセスが正しいと信じられていて、新しいプロセスを取り入れられない。だからこそ、経営層にUXデザイナーが必要で、そのプロセスが正しいと判断したり決済権を与えたりすることが必要なのだと思います。「経営層こそワークショップに参加すべき」とも言っていましたよね。
AKG: デザイナーがもっと経営に興味を持ち、立ち入っていくべき時代が来ていますね。
また、デザイナーは「ただただ作るのが好き」な人が多いから、作れることで満たされてしまいがちで、ユーザーの興味がどこにあるかに着目しないといけないと思います。
vegemaki: あと、プログラムに参加された人の多くが「サンフランシスコに来ると現在の日本より3年先の未来を体験できる気がする」と感想を述べていたそうです。確かに私たちも、サンフランシスコでは電動一輪車に乗っている人が多いと思ったのですが、実は、1年前くらいはもっとたくさん乗っていたのが、今はかなり減っているのだと聞きました。新しいものが出たら、みんなすぐに試してみようという気持ちがあるし、ダメだったらシビアに使わなくなる。日本で生活しているよりも、新しいものをみんなが使っていて、目に触れるところにあるからそういうふうに言われるのかなと感じました。あと、新しいものやサービスに対して、「いいね。こうしたらもっとよくなるよ。」という意見を活発に交換する、というのも聞きますよね。
UC: 日本だと新しいものを排除しようというか、受け入れようとする姿勢があまりないですよね。
他にも「なぜサンフランシスコでUXが進んでいるのか」という話がありました。大企業がUXを取り入れて成功したという体験があって、それを真似する企業が増えた結果、UXが広がっていったと。トップレイヤーがUXのバリューを理解して、成功体験として外に出したことにより、浸透していったという感じがします。Airbnbもファウンダーにデザイナーが入っていますしね。
vegemaki: 日本でも経営層にデザイナーがいる企業はあるとは思いますけど、あまり耳にすることはありません。
AKG: 日本でもデザイナー出身のファウンダーも増えているようですし、これからもっと増えて、成功事例を増やしていってほしいですね。