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こんにちは、AKGです。
今回は、2016年2月20日に行われた「World IA Day 2016 Tokyo」の参加レポートをお届けします。

「World IA Day」とは?

年1回開催されている「World IA Day」は、世界で同日に開催されているIA(Information Architecture)のイベントです。
今年は、グローバルテーマとして「Information Everywhere, Architects Everywhere」、日本でのローカルテーマとして「いまフィルターバブルを考える、これからのIAの役割とは」を掲げ、セッションやパネルディスカッションが行われました。

「フィルターバブル」とは?

「フィルターバブル」とは、いわゆるパーソナライズの弊害だと思います。
例えば、「ラーメン」という言葉で検索したとすると、僕とAさんでは検索結果数が違います。僕がよく「ラーメン」という言葉を検索していた場合、パーソナライズされた検索結果が5,000件しか表示されないのに対して、Aさんは「ラーメン」という言葉であまり検索しないため、パーソナライズされない検索結果が10,000件表示されるのです。
そうなると、Aさんはいろいろな情報に触れることで新たな価値観を得ることができますが、僕の検索結果はパーソナライズされた情報なので、どんどん視野が狭くなってきて、そこに重なりがない限り、お互いのことを理解したり、新しい発見をしづらくなったりする。
それがいわゆる「フィルターバブル」と呼ばれるものです。

IAの文脈の変化

「World IA Day 2016 Tokyo」は、メディア系の話が多い印象を受けました。
冒頭で長谷川敦士さん(IAAJ/コンセント)が述べていたのは、「今までIAはデジタル業界における情報設計が主だったが、情報設計をするIAに従事する人たちが社会課題を解決することで、高次のレイヤーに進んでいくフェーズになったのではないか」ということでした。
だからこそ、自分たちが何かしらの倫理観を持って情報設計をしないと、ユーザーに対して自分たちのバイアスをかけた結果、フィルターバブルに陥ってしまいます。
それを踏まえて、「レコメンドされている世界に対するユーザー体験とは何なのか」という話が繰り広げられていました。

パーソナライズされた情報の伝え方

パーソナライズされた情報という観点では、SmartNewsやNewsPicksなどの新しいニュースメディアの隆盛が挙げられると思います。
今回のイベントでは、松浦茂樹さん(SmartNews メディアコミュニケーション担当ディレクター)と櫻田潤さん(NewsPicks インフォグラフィックス・エディター)が登壇されていました。

櫻田さんは、NewsPicksで「インフォグラフィックス」や「データビジュアライゼーション」を担当されていて、主にそのふたつの違いなどを話していました。
データをビジュアル化するまでにデータ収集、分析、編集、プレゼンテーションという過程がありますが、データを収集・分析するところまでが「データビジュアライゼーション」/それを何かの意図を持って見せるというのが「インフォグラフィックス」というお話でした。
これらは意外と混同しがちな言葉ですが、とてもわかりやすい説明になっていたと思います。

松浦さんのお話で印象に残っているのは、SmartNewsのようにさまざまなメディアからコンテンツ収集をし、発信していく際、「良質なコンテンツをどれだけ集めるのか」ということです。
ユーザーにとって欲しい情報は人それぞれなので、SmartNewsはそれをアルゴリズムで判断させています。
「人が考えるのではなくて、機械的に判断する。」それこそがメディアの公平性やジャーナリズム、ひいてはメディアの倫理観に繋がるというようなお話でした。

イノベーションのための議論

今回参加して思ったのは、「フィルターバブルというのは議論を生み出すためのひとつのアプローチである」ということです。何かの答えを求めているわけではなく、ディスカッションすることに意義があったのだと思います。
僕は他のイベントにもよく参加するのですが、最近はスペキュラティヴ・デザイン(※)やイノベーション系のイベントでも、答えを探求するよりは、議論を生み出そうという意図のものが増えてきているような気がします。
いわゆるパーソナライズの文脈は “最適化”だと思いますし、進化するメディアの方向性だと思います。ただ、そこで生じる「フィルターバブル」のような現象をどう捉えるか、探求するために議論をこれからも重ねていくことで、イノベーションが生まれるのではないか?と感じました。

※参考)問題はあえて解決しない、2016年重要ワード「スペキュラティヴ・デザイン」とは | ASCII.jp

筆者プロフィール
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赤木 謙太(AKG)
IT戦略室 デジタルマーケティング部 R&Dグループ
2015年4月に中途入社。UXデザイナー、ディレクターとして新規サービスのディレクションを担当。