UXモニタリング登壇風景
こんにちは、吉岡です。昨年10月に、「ソシオメディア UX戦略フォーラム」というイベントで登壇してきました。少し時間が経ってしまいましたが、今回はその登壇内容についてレポートします!

「ソシオメディア UX戦略フォーラム」とは?

「ソシオメディア UX戦略フォーラム」は、ソシオメディア社が定期的に開催している、国内外のUXスペシャリストを招いてUX戦略についてのさまざまなプログラムを提供するイベントです。
私が登壇した「ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Fall」のテーマは「メトリクスの追求」。UXデザインの計測、分析や数値をどうマネージメントに活用するかといったトピックからUX戦略のあり方を探るプログラムが多数行われましたが、その中で私は、「UXモニタリングことはじめ」というタイトルでお話しました。

KPIドリブンな開発の問題点

今回、「UXモニタリング」というキーワードを作ってみました。というのは、UXメトリクスの手段はアンケートやインタビューなどコストがかかるショットで行うものがほとんどだからです。そこと差別化するために、今回紹介した手法を「UXモニタリング」と名づけました。

私は10年ほどUXを専門に仕事していますが、以前からKPIドリブンをミッションにした開発において、UX施策が置き去りにされがちなことに疑問を抱いていました。
その理由のひとつとして、UX施策はだんだんとKPIにプラスの影響を与えるようなものが多く、直ちにKPIを向上させるのが難しいことがあげられます。
例えば、KPIを上げるためには、コンバージョンさせたいページまでの画面を減らすことでCVRは増えますが、同時にミスリードされるユーザーも増えます。それは、UXが下がってしまったと言えると思います。

問題を解決するには?

UXが下がらないようにするためにはどうしたらいいかを考えたときに、UXの施策がKPIにプラスの影響を与えることを可視化すればいいと思いました。

UXの効果を“見える化”する定性的な手法は、ユーザーインタビューやアンケートなどさまざまなものがあります。しかし、毎日継続して測ることができるものではないですし、回数が増えるほど莫大な費用がかかってしまいます。

そこで、UXを継続的に測る手法を考えました。それが「UXモニタリング」です。今回のプレゼンテーションでは、弊社の事例から、“UX施策の効果を見える化”するための手法をお話しました。

どうやってやるのか

KPIの指標とされるDAUやリテンションなどのKPIはざっくりとしていて、日々いろいろな施策をやり続けていても、あまり変動がおきません。UX施策の効果を“見える化”するためには、数字をほぐす必要があります。つまり、一部の層にすごく効いていると思われる施策も、全体でならしてしまうと変化が見えなくなるのであれば、ユーザー行動別にグループ化しグループ(クラスタ)ごとの数字を可視化できるようにすればいいのでは、と考えたのです。クラスタ分析にはリクルートテクノロジーズのビッグデータグループの協力を仰ぎました。

ペルソナ・クラスタリングの導入

ユーザー行動別にクラスタ分析する際に重要なのが、「しきい値」だと考えています。単なるクラスタ分析だと、ユーザーの行動別にクラスタリングされるとは限らないからです。クラスタ分析に、UXのペルソナの概念を重ねた手法というところから「ペルソナ・クラスタリング」と命名しました。
「しきい値」を調整することで、ユーザー行動別に8つのクラスタに分けました。そして、各クラスタの割合がどのように変化するのかをモニタリングしたところ、一部のクラスタに行動の変化が起きていることが可視化できました(スライド23ページ参照)。

UXモニタリングツールの構築

プロダクト担当者がモニタリングできるように、ビッグデータグループの協力の下、Tableau(タブロー)というBIツールを使って、ペルソナ・クラスタ毎の数値を見える化したUXモニタリングツール「ユーモ」を構築しました。ペルソナ・クラスタごとの増減だけではなく、その時々の主要アクションの変動や、どのクラスタに変化(あるいは離脱)したのかがわかるようになっています。

最後に

「ユーモ」を使うことで、UX改善施策がスクラムのPBL(プロダクトバックログ)に納得行く形で登録されることが一旦のゴールですが、「ユーザー行動モニタリング」という価値を更に深掘りして、別の施策への転用も進めています。そのお話はまたの機会にご紹介したいと思います。