1

こんにちは。AKG、UC、vegemaki です。
8月9日から12日までサンフランシスコにて行われた『UX WEEK 2016』に参加してきました! 今回は座談会形式でその時の様子をレポートします。

UX WEEKとは?

AKG: UX WEEKは、Adaptive Path社がサンフランシスコで毎年行っている、UXデザインに関するカンファレンスとワークショップのイベントです。4日間ある内の初日と最終日がカンファレンス、2〜3日目がワークショップとなっていて、参加者それぞれが興味のあるセッションやワークショップに参加して知見を得ることができます。
UC: 『UX』というタイトルではありますが、デジタル面だけではなくイベント運営者や、ガムの研究員などさまざまな分野の人が 『UX』という括りで話をしていました。
vegemaki: ウェブやアプリなどのデジタルに閉じているというよりは、「サービスやイベントの体験をどうデザインしていくか」という話も多かったですね。参加者は200〜300人ほどでしたが、そのうち日本人は10人程度。「日本から来たの!?」と驚かれたりもしたので、アメリカ国外の人が多く参加するイベントではないのかもしれません。

参加者との議論から生まれる気付き

2_320

UC: 僕が印象的だったのは、2日目に行われた “Prototyping as Craft” というワークショップ。グループごとに自分たちで課題を設定して、改善策を作っていくもので、僕たちのグループでは空港の改善をテーマにしました。最初に問題点を洗い出した後、改善するシーンを実際に厚紙やクリップなどを使って立体的な形で再現していくのです。午後は、さらにその立体的な模型の中からシーンを絞って、スクリーンになる場面を抽出し、改善案を考えました。最終的には、手描きでその画面を作って、インタラクションを含めてスマホで閲覧できるようにして、ロールプレイを行います。おもしろいなと思ったのが、実際に問題のシーンを立体化して作っていくこと。課題のイメージがしやすいし、関係者みんなで作るため共感を得やすいですよね。

vegemaki: 2日目に私は “Sketching Interfaces” という、「スマートフォンのユーザーインターフェースを描いてみよう」というワークショップに参加しました。個人作業がメインな中で、共通のお題が与えられて個々に描いた作品を壁に貼ってみんなで見るという時間が何回かありました。日本では講師が良いところと悪いところを指摘することが多いと思いますが、その時は講師が「良い/悪い」を指摘することはあまりなくて。参加者から「これはいいね」「自分はこの部分を書くときに困ったけどみんなはどうした?」という会話が発生するように講師がファシリテーションをしてくれるし、参加者もそういう発言に躊躇がない雰囲気がいいなと思いました。ディスカッションが活発に行われることで、様々な人の観点・価値観からの「良い/悪い」を知ることができたので、自身でとても納得のいくワークとなりました。本当にディスカッションがすごく活発ですよね。
UC: そうですね。どのワークショップもみんなが意見を言い合って作っていく、評価し合っていく、という感じでした。

3_320

vegemaki: セッションを聞いているだけだと隣の人と議論が発生することってないと思います。けれど、ワークショップではお昼休みやアフタヌーンブレイクの時間も用意されているので、議論する機会もたくさんある。ディスカッションによって気づくことも多かったので、ワークショップがある海外のカンファレンスに行くのは、想像していた以上に有意義だなと感じました。
UC: そういう議論って日本人が苦手なところだと思いますけれど、そういう環境だと言わざるを得ないですよね。あとは、向こうの人って理解しようとしてくれる姿勢がありますよね。

AKG: UX系のカンファレンスだけあって、参加者が他人の気持ちに興味があるからなのかもしれないですね。僕は3日目に “Motion Design & Prototyping Essentials” というモーションをつけるワークショップに参加しました。そこでは、Keynoteを使って実践したのですが、そこでは「ものベース」で話すことが結構ありました。スケッチをしたものを見ながらみんなでディスカッションしたり、実際に動きをつけて話してみたり、何かしら作って話すのはいいなと思いました。日本だと「手を動かす前に、詰めてから実際にものを作る」という傾向にありますが、そうではなく、ものを見てしっかり話すからこそ納得できることもある。あと、ワークショップによるのかもしれませんが、作ることに興味がありそうな人たちが多いように感じました。

IoTによる懸念点

vegemaki: セッションで気付きがあったのが、1日目に行われたキーノートの “Designing Calm Technology”。「今のままテクノロジーが進化していくと、すごく“うるさく”なってしまうので、もう少し落ち着いたテクノロジーを提供すべきだ」という話でした。
UC: 例えばキッチンの話だと、IoTで冷蔵庫の中に何が入っているか判断し、なくなりそうなものを通知してくれる機能があります。そのように便利なものが増えれば増えるほど、冷蔵庫、電子レンジ、ケトルがそれぞれ喋るなど、キッチンはどんどんうるさくなって、心地よくなくなってしまう。
vegemaki: ものやテクノロジーが人間に対してコミュニケーションを取ることは間違ってはいないと思いますが、「すべてが話したりアラームを鳴らしたりする必要はない」という意見に私も同意です。今はIoTに対応しているものがあまりないからそれほどに気になりませんけど、これからどんどん増えていったら、こういう点についても考えないといけませんよね。
UC: 2020年には500億のデバイスがオンラインで繋がるようになるそうです。全部がオンラインで繋がるから、デバイスが人とコミュニケーションできるようになるべきだけれど、「過度な通知やアラートは必要ない」ということを言っていましたね。
AKG: 事ある毎に報告してくるコンシェルジュとか要りませんからね。これから先のプロダクトはどうなっていくのか。「その企業の製品があるから生活が豊かになる」と思わせたほうが、会社のブランディングとしてはいいと思います。そうなると、他のものより目立つのは重要なこと。ただ、それらすべてからアラームが発生するようになってくると、うるさくてしょうがないですよね。
vegemaki: 同じ会社が冷蔵庫も電子レンジもケトルも出していない限り調和するのは難しそうかな、と思いますね。

ユーザーのことをきちんと知るために必要なこと

4_320

UC: 僕がおもしろいなと思ったのが、アメリカで行われている、『Burning Man』という、お金を使わずに物々交換でやり取りをしたり、アートなどの表現をしたりするイベントについてのセッション “Creating the Burning Man Experience” です。Burning Man内のコミュニティは「マジックサークル」と呼ばれていて、マジックサークルを形成する人同士で特別な信頼ができているそうです。例えば、普段街中でアイスキャンディを配っている人がいても絶対受け取らないですよね。でもマジックサークル内で同じことをされれば受け取る。一緒にマジックサークルを作っているという協同体験が信頼を生み、コミュニティができるというのは、興味深く感じました。
UX WEEKを主催するAdaptive Path社がBurning Manのリサーチをして、実際当事者になって、自分たちも仮装したりしながらユーザーインタビューをしたそうです。そういう形でのユーザーインタビューというのもあるのだなと感心しました。
vegemaki: すごく難しいと言っていましたよね。いつどこで何が起きるかわからないから、あらかじめ準備したりメモを用意したりするのが難しい。そして、客観的にそれを見て分析しないといけないけれども、参加者じゃないとその場に参加できないから、参加者としてのマインドも同時に持っていないといけない。
AKG: エスノグラフィに近いかもしれないですね。インタビューしてカスタマーのことを知ることや、観察してユーザーのことを知ろうとすることは多いですけど、「なりきる」「模倣する」というは日本ではあまり行わないかもしれませんね。

UC: そうですね。セッション全体の内容としては「相手のことをちゃんと知ろう、共感しよう」というものが多かった印象がありますね。
vegemaki: アメリカではそういうテーマが多い印象ですね。
UC: やはり重要なのは異文化を受け入れるというところだと思います。アメリカはいろいろな人種が集まっている国ですし。
AKG: 確かに。それだと日本人は暗黙の了解が多いですからね。
vegemaki: 「ユーザーをきちんと知ること」「ユーザーの気持ちに共感すること」は、「この人に対していいサービスを作るぞ!」というモチベーションにも繋がると思います。よくわからない人に対して実感のない価値を提供しているより、自分が体験したことのある痛みや欲に対してサービスを提供していくほうが作っていくものに重みも出てきますから。
UC: 「自分事」にするということですよね。

最後に

UC: とても気付きが多かった4日間でしたね。それにしても寒かった……!
vegemaki :寒かったですよね! 偏西風の影響とかで夜は気温13度くらいでびっくりしました。UX WEEKのほかにもいろいろな企業を回ったりして、とても有意義でしたね。
AKG: 次回は、btraxに訪問したときのことをお話したいと思います!

5