こんにちは、AKGです。
4月28日に『「UX Sketch」Meetup vol.11』でLT(ライトニングトーク)をしてきました。今回はその内容をお届けします。

なぜ参加したのか?

「UX Sketch」は、Media Technology Lab. が毎月開催しているUXの勉強会。11回目は「ミートアップ」をテーマに、UXに関するイベントやコミュニティの主宰者が多数参加して、その理念や近況報告などが行われました。
参加者は、UX戦略フォーラムの篠原稔和さん、UX TOKYOの坂田一倫さんなど、日本のUXメディアを総括するような錚々たるメンバー! 今回は5名のLT枠があったので、「絶対出たほうがいい! 若手もがんばっていることを知ってもらおう!」と意気込んで、最速で申し込みました。

当日は何を話そうかいろいろ考えていて、最初は「UXのコミュニティについての話をしようかな」とも思ったのですが、「他のスピーカーに気付きを与えないと意味がない」と思い直し、『UXデザインとことば』というタイトルで話をさせていただきました。

UXデザインとことば

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きっかけはコピーライター養成講座

僕は最近、宣伝会議社主催のコピーライター養成講座に通い、コピーライティングを学んでいます。そもそもコピーライター養成講座に通い始めた意図は、「思考を言語化するため」です。自分の思考のプロセスを辿るために、コピーを使おうと思ったのです。
受講して気づいたのは、そのプロセスはUXのプロセスと似ている部分が大変多いということです。コピーは、製品サービスの理解およびターゲットユーザーの理解を十分に深めた上で、ターゲットがプロダクトと出会った体験を自分に憑依させた後、ターゲットに刺さる言葉を紡いでいきます。
そのプロセスは、会社の文化や製品サービスを理解し、思考・行動・性格などターゲットユーザーを理解した上で、「いつどうやってそのサービスやプロダクトと出会い、どんな利用体験をするのか、をイメージする」というUXのプロセスと似ていますよね。
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UXにもっと必要なのは“人の心を動かす言葉”

コピーライティングを学んで一番感じたことは、『人の心を動かすための言葉』はとても大切だということです。
サービスやアプリなどで使われている言葉は、非常にわかりやすく『最適化された言葉』だと思います。人は行動の前に思考、思考の前に感情や性格がありますが、『最適化された言葉』とは、考えなくても行動できる、パッと見れば次に何をすればいいのかわかるものを指します。
これらがプロダクトの中において大切であることは言うまでもありません。しかし、今回話したかったのは、『コミュニケーションの言葉』、すなわち「思考の前にある感情を揺さぶるような言葉」の必要性です。いわゆる愛されるサービスには、この『コミュニケーションの言葉』が必要だと思うからです。
UXでは、<利用前の予期的UX>・<利用中の一時的UX>・<利用後のエピソード的UX>というプロセスがあります。<一時的UX>に関しては『最適化された言葉』でも良いと思うのですが、逆に<予期的UX>・<エピソード的UX>には『コミュニケーションの言葉』=『人の心を動かすような言葉』が必要です。
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Airbnbを例に挙げると、最初にサイトを訪れた時に “暮らしてみよう” という言葉が目に入ります。これはコピーライティングの良さが光っている言葉です。コピーは今までにない価値に気付きを与えることにより、その関係性を密接にするということがとても大切。Airbnbは、このようなキャッチーな言葉で訴求して、「現地のホストのお家に宿泊して、191か国以上で暮らすように旅しよう」と補足したり、「ホスティングで開く、世界の扉」などと、だんだんと感情に訴えかけてきたりすることに卓越したうまさがあります。
最初にキャッチーな言葉でユーザーを引きつけてからは、そこから先の実際に宿泊先を見つけたり予約したりするフローでは、余計な言葉は使わずに、次に必要なことだけをわかりやすく示しています。そして、全部のフローが終わると「楽しんでくださいね」というような言葉に見送られて、ユーザーは実際に旅に出るわけです。
この一連の流れが、ただ何かを遂行するための道具ではなく、ある種の人格を持ったアシスタントやコンシェルジュに近いような役割になっています。一歩こちらに歩み寄ってくれて、一緒に考えてくれるような感覚になる。それがユーザーにとって、とても心地よいものとなります。

もっと一気通貫したコミュニケーションを

いろいろなサービスを見ていると、「できるだけわかりやすくシンプルに伝えたいことを伝える」というものが多いですが、それでは熱量が足りないようにも見えます。サービスの大切さはわかるけれど、それがどのように良いのかがあまり伝わらない。そのサービスがあることによって僕らの生活はどう変わるのかがきちんと見えるようにしないといけないですよね。
どうしてもUX/UIをやっている人は、わかりやすい言葉にフォーカスしやすい傾向にあります。やはりサービスやプロダクトが中心になると、可能な限りコンバージョンを上げたいから、その方がわかりやすく行動しやすいと考えてしまいがちです。最適化のほうが楽ですし、安定感があるので使いやすいとも思ってしまうのです。ただ、その考えがそのままプロモーションなどに横展開してしまっているのは危険だと言わざるを得ません。

プロダクトで自分が関わる範囲は、プロダクトの中だけに閉じてしまいやすくなってしまいます。事前のプロモーションと事後のメールでのコミュニケーションなどとでは、どうしても担当が別になってしまうので、一気通貫でユーザーとのコミュニケーションをとるのがなかなか難しい。それでも、できればコミュニケーションとして一括りで考えたほうがいいですよね。
そのような話をしてきました。

最後に

5分という短い時間だったので、急ぎ足となってしまいましたが、参加者からは「おもしろかった!」と言っていただけました。この「UXデザインとことば」というアプローチは、ある意味UXデザインらしいものです。UXデザインを初めて学ぶ人は、実際にやってみるとUXが非常に大切だということがわかってくるでしょう。今までデータドリブンだけでやっていたものが、人のことを考えると見え方が変わってくる。言葉も同じだと思います。しかし、今まではそこまで意識が回っていなかったのではないでしょうか。今回お話したことによって、「確かに人のことを考えると変われるよね」という気付きを与えられたのかなと思っています。

僕もまだまだ勉強中の身なので、多くを学び、多くの経験を積みながら、自分らしい意見をもっと考えて、それを人に対して伝えられていけたらなと思っています。コピーライティングを学んでいるからこそ、ことばの大切さを体感して今回話すことができたので、今後も自分として大切だと思うことをしっかりと考えた上で、他の人にも共有していけたらと願っています。とてもいい体験になりました。