こんにちは、AKGです。
2016年3月18日~20日まで、UXに関する世界的なイベントのひとつ・UX DAYS TOKYO 2016が開催されました。僕は18日に行われたカンファレンスに参加してきましたので、その時のレポートをお届けします。
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Jesse James Garrett氏 『16年のUXから学ぶ16のレッスン』

世界的に著名なスピーカーが名を連ねた今年のUX DAYS TOKYO。僕が楽しみにしていたのが、世界的に有名なUXデザイン会社・Adaptive PathのCEO兼創設者でAjaxの名付け親でもあり、「ユーザー・エクスペリエンスのダイアグラム:五つの段階」を定義したことでも知られるJesse James Garrett氏のセッションです。ジャーナリスト、エディター、ライター、IA、UXデザインなどさまざまなフィールドで活躍してきた彼が、今までのキャリアを踏まえた上で何が大切なのかという16項目を話してくれました。
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1.できるだけ広範に

彼はいろいろな業界でさまざまな経験を積んだことが、UXデザインにとても活きていると言っていました。UXデザインはもちろん、コラボレーションや共創と叫ばれている中で、どれだけ思考の幅や人の厚みを持たせられるか。「最初は点と点だった知見が結びついて線になり、今では面となっているから、できるだけ広範にやるといいよ。」という助言がありました。

2.深掘りせよ

ビジネス、社会、文化的な文脈など、どれだけ自分が深く理解できるか。例えば、クライアントの創業者まで調べたり、組織全体や社会に対しての影響力などまで調べたりすることによって本当に大切なことが見えてくるから、深掘りしろ、熱中しろ、ということを言っていました。

3.俯瞰しろ

深掘りした後、一度俯瞰してみろとも言っていました。情報の入力要素を切り替えてみると、思いつかなかったアイディアが出てきたりする。例えば、ずっと同じメンバーで仕事をしていても新しいアイディアは出てきづらいから、時に外部の人に意見を乞うことも重要だよね、という話もありました。

4.自分の役割を固定しない

新しいことをやるときには怖さはつきものですが、作業範囲に制限を設けると新しいものは生み出さないから、殻は破り捨てて、どんどん新しいほうに飛び込んでいきましょう、と。それは、最初の熱中とも同じ文脈でもあると思っています。熱中できるものがあったら手を出していく。そうしないと気がすまない、くらいの気概が大事なのかなと思いました。

5.リサーチに頼り過ぎるな

デザインにおいてリサーチが必要な場合は往々にしてあり、それによってデザインが決まることもありますが、そうではない部分もたくさんあると思うのです。自分の考えや直感と向き合ってみると、そこからユーザーの本当の真実が見えてくることもある。目の前にあるものだけにとらわれ過ぎるとアイディアが浮かばなくなるよ、と言っていました。

6.壁となっているものを言ってみろ

固定概念やバイアスなど、自分の想像力を発揮させる上で壁になっているようなものを口に出して言ってみろ、とも言っていました。そうすると、障壁になっているものに気づくので、それを破壊すれば新しいアイディアが開ける、ということでした。

7.好奇心を持ち続けろ

デザインは課題解決のためのツールとよく言われますが、課題解決したら終わりではありません。「本当にそれで終わりなのかもう一度考え、どんどん課題を解くにつれ、新しいことができるだろう」と言っていました。

8.ユーザーと同じくらいクライアントにも理解を示せ

UXデザインはユーザーを鑑みるのでクライアントをおざなりにしがちですが、そうではなくて、クライアントのことも理解して、その言葉に耳を傾ければ、新しいシステムのつながりが見えてくる。クライアントがビジネスとして何を求めているかをもっと知らないといけない、という話でした。

9.違う人たちと付き合え

同じ人たちと同じ体験をしていても世界は狭くなる一方なので、違う人たちと付き合って、違う視点、新たな技術、新たな体験などをどんどん吸収しましょうと言っていました。最初に話していた、キャリアや経験が活きているという話ともつながっていますね。

10.味方を育め

ユーザーの体験の全体像や問題を考えるときに、チームメンバーがその体験が大事だという視点を持っていないとやりづらいので、デザイナーだけではなくて、他の人たちを味方につけなさい、ということでした。

11.自分が立ち向かうべき課題を選択する

新しいことをやるときには、生みの苦しみがつきものです。しかも、それは毎回勝利できるものではありません。しかし、自分への問いとして戦うのにふさわしいかは求めてもいいと思うのです。やはり自分のやりたいこと、自分がこれに熱中できるんだと思ったことの方が勝率は高まりますよね。

12.良い仕事が勝手に自分をアピールしてくれるわけではない

いい仕事が自己アピールをしてくれるわけではありません。なぜこのデザインがよくて、なぜこのプロセスが必要なのかを自分が理解して語れるようにならないとだめですね。

13.デザインを変えるのは容易いが、マインドを変えるのは難しい

UXデザインは偏見との戦い、先入観との戦いという側面もあります。ただ、デザインなど表面上直すのは簡単です。一番難しいのは、人の思考を変えること。しかし、僕らはその慣習を変えなくてはいけないのだ、と言っていました。

14.失敗したときにその内容を理解しろ

ただ学ぶだけではなく、もう一度その内容を検討して、どうしたらユーザーの信頼を勝ち取れるようなプロセスを組めるのかをきちんと考えるべきだ。失敗から学ぶだけではなく、次どうするかを考えろということも言っていました。

15.すべてのものは常に変わりつつある

一般的に変化は点だと思われがちですが、変化は継続的に起こるものです。小さな変化の積み重ねが結果として大きな変化になる。変化は流動的に変化することを受け入れなさい、ということでした。それはデザインの基礎でもあるし、それをどう楽しむのかが大切ですよね。

16.みんなでやっているんだと思え

最後に、「世界中のみんなが同じ問題に直面しているから、ひとりじゃないんだぞ。」と言っていました。いまこの場に集まって、UXデザインというものに課題を持って、解決しようとしている。会社に戻ったらひとりかもしれないけれど、そうではなくて、みんなつながっているんだからという話でした。

印象的だったこと

最後の話でとても印象的だったのが、「日本人は過去を振り返っていない」ということ。未来の話ばかりしているのが日本企業の課題だと言っていました。日本は過去に様々な良いプロダクトを作ってきましたが、過去の栄光は見るものの、悪い思い出は振り返ろうとしない。「過去を振り返るからこそ、さらに良いものができる」という話が心に残っています。

今回の参加者の多くは、コンサルタントやマネージャーなどが中心でした。Jesse James Garrett氏たちのセッションを聴きながら、組織を変えていくにはどうしたらいいのかということを考えていました。今の時代は、企業の中にデザイン的な考え方をする集団を取り込もうという流れに移行していますが、取り込めない場合は自分たちでその体制を作らないといけない。そうなったときに大切なのは、まずは中でそういう文化を醸造していくことだと思っています。これから、それをどう作っていくのかということも考えていかないといけないなと思いました。
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筆者プロフィール
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赤木 謙太(AKG)
商品本部 デジタルマーケティング室 事業開発部 UXDグループ
2015年4月に中途入社。UXデザイナー、ディレクターとして新規サービスのディレクションを担当。