人工知能学会_看板_mini

こんにちは。CXM グループの藤井、伊藤紅香です。6月6日~6月9日に福岡にて行われた2016年度人工知能学会全国大会に参加してきましたので、その時の様子をご紹介します。

人工知能学会とは?

人工知能学会は、人工知能に関連する研究の進展や知識の普及、学術・産業・社会の発展に寄与するように設立された組織です。「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」が、この学会の対象範囲です。年齢や学歴など実質的な入会制限がなく、これらに関心を持つすべての人に参加資格があり、会員数は4,000人超にものぼります。その人工知能学会が主催しているのが、「人工知能学会全国大会」です。30周年を迎えた今年は、発表数700件、参加者1,600名と昨年よりも多くの人が参加していて、人工知能の注目度の高さが伺えました。私たちは1日目のみの参加でしたが、全体的には学生が多く、アカデミックな雰囲気が強い印象でした。

なぜ参加したか?

私たちは、メールマガジンやLINEといったカスタマー接点において、チャネル横断でカスタマーの育成を担う役割のグループに所属しています。(一般的にはCRM/カスタマー・リレーションシップ・マネジメントなどと言われている役割です)
LINE公式アカウント「パン田一郎」は、自然言語処理の技術を使って返答していますが、より有能なチャットボットでのサービス提供に向けて、人工知能界ではいまどういうものが研究・注目されているかを情報収集するために、参加してきました。

第三次人工知能ブーム到来!

まずは初日ということもあり、人工知能学会会長・松原 仁さんによるキーノート「人工知能の歴史と、今」に参加しました。いま、人工知能では3回目のブームがきているようで、そのブームは人工知能学会の会員数にも顕著に影響しているようです。過去2回のブームは、実用レベルに達するような人工知能がなかったこともあり、比較的すぐに収束してしまったとのこと。ですが今日の人工知能の盛り上がりを見てもわかる通り、今回は様子が違うようで、松原さんが「3度目の正直」と笑顔でおっしゃっていたのが印象的でした。そして、キーノートの中で特に記憶に残っているのが、「“人工知能とは何か”を考えることから人工知能の研究ははじまる」「“できない”“難しい”とされている事象を実現すれば、なんでも人工知能なんだ」ということです。だから、「パン田一郎」でおもしろい企画や機能を追加することも広義の人工知能と捉えることができるし、今後取り込み甲斐があるなと思いました。

Deep Learningなど画像系のトピックが豊富だったカンファレンス

1日目の全体的な印象としては、Deep Learningや画像系のトピックスが多かったような気がします。対話型AIやテキストベースのセッションは別日に多く行われたようです。

一番興味深かったのが、ファジィシステム研究所・福島邦彦さんによる「Deep CNN ネオコグニトロンの学習」です。近年家電製品・セキュリティー用カメラ・自動車の自動運転などにおいて、画像認識技術が進化しています。その分野ではCNN(畳み込みニューラルネットワーク)が有名ですが、さらに認識に対して「揺れ」を許容できるのがこの「ネオコグニトロン」です。例えば、部分的に隠されたアルファベットがある場合、人間は隠された部分によってどのアルファベットかを認識しますが、「ネオコグニトロン」は揺れを許容できるため、人間に近い認識ができるようになるそうです。現在は、ネオコグニトロンの回路構造と学習方式に改良を加えて、実際の脳の視覚系により近づけるとともに、パターン認識能力を大幅に向上させるよう研究が進められているとのことです。

Deep Learning技術をベースとした異常画像検出」では、有限責任監査法人トーマツがリクルート住まいカンパニーとともに開発しているRegion-based CNNを用いたSUUMOの不適切画像の検出活用について発表していました。人の顔が映っている画像など、不適切な画像を除外したり、自動でモザイクをかけたりという作業を、Region-based CNNを用いて自動的に除外しているとのことでした。

人工知能に関連した企業展示ブース

セッション以外にも企業のブースが出展されていましたが、特に人工知能で学習させるようなハードウェアが多く展示されていたのが印象的でした。GPUが優れているDeep Learning用ハードウェアや、『NEKONOTE 6DOF for Academic』という実際に人間が触れることで動作を記憶・学習させることができ、リミッター制御などもソフトウェアでできるロボットアームなどが展示されていました。VRもいくつか展示されていました。

その他にも、さまざまなデモなどが発表されていました。例えば、モナリザの顔に対して、セレブの顔のデータベースを介してモナリザを笑わせるというデモもおもしろかったですね。あとは、Deep Learningを使って衛星写真から建物の形を抜き出すというのを学習させているものもおもしろかったです。衛生写真に建物があったときに、人は目で見て、線を引いて、建物と認識する。これはそれをたくさん学習させることによって精度を上げていったそうです。目視では見きれない情報もあると思うのですが、それはプログラムだからこそ網羅性を担保できる。そこに価値に結びつけるのがすごいと思いました。

最後に

今まで人工知能は少し難しいものという印象がありましたが、そもそもの歴史や、生理学観点での講義を通じ、人工知能の捉え方が広がりました。また、人工知能の使い方のアイディアが必要だということも感じました。例えば、ネオコグニトロンは視覚神経系の原理を応用した技術ですが、そのように生物学に由来する技術もあるなど、私たちも物事を考えるときに幅広く考えないとといけない。やはり、ITだからってITのことだけを調べて作っていてもおもしろいことは生まれないと改めて思いました。そして、少し残念だったのが、「パン田一郎」の認知度が低かったということです。とても悔しかったので、この領域でがんばって、認知度を上げていきたいなと思います。