hcd-net

2015/5/30、2015/5/31にHCD-Netフォーラム2015に参加してきました!

HCD-NetとはHCD(Human Centered Design = 人間中心設計)を導入するうえでの知識や方法を提供し、多くの人が快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目的とした特定非営利活動法人です。
※詳しくは組織概要を御覧ください

今年のフォーラムは「HCDの明日 -これまでの10年、これから の10年-」ということで、イノベーションを起こす上での人を中心としたプロダクト(モノ)とそこから得られる体験(コト)をデザインすることに注目が集まってきている昨今、今年で10年を迎えるHCD-Netの過去を振り返りながらHCD(人間中心設計)のあり方や優れたユーザー体験、サービスとはどうあるべきなのかを皆で考えていくことがテーマとして掲げられてました。

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フォーラムの会場は東海大学高輪キャンパス。
夏が近づいてることを感じる陽射しの強い暑い日でした。

HCD-Netのこれまでとこれから

初日の理事長挨拶では「HCD-Netのこれまでとこれから」と題して、発足から10年が経ったHCD-Netの世代間継承と人間工学、プロダクトデザイン、マーケティング、心理学など領域間の適切なバランスをどう保つのかというお話をされました。
また、「ユーザー視点を忘れるべからず」というメッセージと共に「ユーザーは何も作れない、だからこそ売れることをゴールとするのではなく、売った後にも価値を与え続けるような長期的(6ヶ月から1年)なUXの評価を大事にしてください」と話されていました。
プロダクトを良くすることは僕らにしかできず、ユーザーを幸せに導く責任と使命感を常に持ち続けなければならないことを再認識させていただきました。

新しい企業のマネジメントスタイルとイノベーション

次に基調講演としてお話されたのが森川亮氏(C Channel株式会社 代表取締役社長、LINE株式会社 元代表取締役社長)。

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森川さんは世の中の変化は予測できないこと、予測するのに時間をかけるよりも変化のシグナルを感じることが大事、つまり川のような考え方が大事なのだと仰ってました。変化を恐れるのではなく、変化を強みに変え、変わらないゴールに対して手段を変えていくことが大事なのだと感じました。そういった意味では今はまさに明治維新のような時期なのかもしれません。
その後のパネルディスカッションでは、新しいプロダクトを世に送り出す上でヒアリングを行う際に半歩先を行く人の意見を聞いてみること、先に作っておいてタイミングを見計らって世の中に出すなど、新しいプロダクトを世の中に出す上での独自の見解を示されていました。その多くが自分が実際に試し、失敗から得た教訓が多く、非常に興味深いお話でした。

これからのHCD/UX:デザインとイノベーション

基調パネルディスカッションの第1部は「これからのHCD/UX:デザインとイノベーション」というテーマで「情報の視覚化のデザイン」のお話をSITE4Dの隈本章次氏が、「融けるデザイン」のお話を渡邉恵太氏がされました。
渡邉恵太氏の「ググるは易く、行うが難し」という言葉が非常にわかりやすく的を得ているなと感じ、情報を得てから行動にうつすまでに自分が何を手伝うことができるのかを考えるきっかけにもなりました。実際に講演後に僕も「融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 」を読ませていただき、生態心理学も勉強するようになりました。

これからのHCD/UX:サービスとイノベーション

基調パネルディスカッションの第2部は「これからのHCD/UX:サービスとイノベーション」というテーマで「ISO 国際標準:Human Centerd Organization」のお話を持丸正明氏が、「サービスデザインのこれから」のお話を武山政直氏がされ、「UXDの職能要件とキャリアパスについて」リクルートテクノロジーズの竹部陽司氏がそれぞれ講演されました。
組織としてHCD/UXを扱う上でどんな組織体制にするのか、どんな能力が必要とされ、どう組織を育んでいくのか、組織運営を行う上でのHCDとはなにか、新しい視点を得ることが出来ました。

基調講演、基調パネルディスカッションを終え、HCDベストプラティクスアワード2015の表彰式、最優秀論文賞の表彰を経て1日目は終わりました。

二日目の午前は講習会ということで「初心者・初学者のためのHCD」、「HCDとビジネス」、「HCDと認定専門資格」、「最新のHCD」についての講習を受けました。
僕が参加したのは「HCDと認定専門資格」です。
ここでは実践事例として田口亮氏、菅野歩氏、山岸ひとみ氏が講演をされました。

YAHOO! 不動産アプリの制作事例:田口亮

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YAHOO!不動産アプリの制作事例を元に田口亮氏からUXを中心に考えたプロダクト制作のプロセスについての講習でした。特にペーパープロトタイピングのような手軽に作れるツールでどれだけ早くプロトを制作するのかが大事だと仰ってました。これは最近僕も非常に思うところが強く、もちろん機能書、仕様書、画面遷移図は制作支持を行う上で大事ではあるものの、ユーザーの目に触れるものはいつだってプロダクトです。仕様書や画面遷移図がどんなによくなってもユーザーには見えないがプロダクトがよくなれば目に触れインパクトを与えることができる。また、制作してるチームもイメージの共有と新しいアイデアを生み出すきっかけとなるでしょう。
プロトタイプの段階から積極的にユーザーテストを限りなくメンバーが全員参加した状態で行うことが望ましいとも話されていました。これはやはりプロダクトの問題に対して当事者として向き合うためや課題の温度感を肌で感じることなのではないでしょうか。
自分のチームでも自分が率先してプロトタイプの制作を行っていくことでそういった文化を定着させるきっかけになるのではないかと思います。

HCD専門組織の活動事例:菅野歩

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菅野氏の話は主に組織での情報共有の方法についての話でした。チーム内での共有の形を整備することで専門家としての個人力の底上げにつながる、また、専門家一人の知識ではなく、複数人で考えることで解決できる課題が多くなるということでした。アタマを柔らかくし、他の視点からの刺激を受けること、アンテナを張るだけでなく、それをシェアすることで組織を活性化させることを意識すべきだと仰ってました。また、共有方法としてはUIに対してのレビューをユーザーだけでなく、チーム内でフィードバックをもらえるようなツールを採用しているということでした。持ち回りで勉強会を行ったり、暗黙知やノウハウに関してはwikiとしてまとめる。ニュースやトレンドに関しては関連情報を人の目でバリデーションをかけてからチーム内にシェアしてるそうです。
体験価値を向上するため、関係者を巻き込むためにチームメンバーが社内イベントを企画運営し、オープンに知識の共有をはかっているとのことでした。

HCDで組織を育てる:山岸ひとみ

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山岸氏はHCDで組織を育てるというお話をされました。今までのよいHCDを与えるような組織づくりの話ではなく、HCDの考え方を元に組織づくりを行うための話です。山岸氏は会社を立ち上げ、組織に属する一人一人の力を底上げするためにワークショップを行うという方法を取り入れ、今では身体性を意識したコミュニケーション系やアイデアを生み出すようなワークショップを外部にも展開されているそうです。組織に必要なことを突き詰めていったら仕事になったという他とは違った視点のお話をされており、非常に興味深いものでした。

HCD-Netフォーラム2015に参加して

フォーラムに2日間参加させていただき、色々な視点での話、HCDの捉え方などのお話を聞くことができ、知見が増えるだけでなく自分が何をすべきなのか立ち返るきっかけとなりました。
また、「デザインとは課題を解決するための手段である」と考えていたが、それ以前に「今向き合っている課題が本当に正しいのか」という話をさせていただけたことが僕にとってはすごく大きな気付きとなりました。どんなにいいデザイン、UXを実現できたとしてもそれが真に向き合うべき課題でなければ意味がない。どう解決するのかではなく、常にコトに向かう上で課題の本質に向き合うことを意識していこうと思います。

筆者プロフィール
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赤木 謙太(AKG)
IT戦略室 デジタルマーケティング部 R&Dグループ
2015年4月に中途入社。UXデザイナー、ディレクターとして新規サービスのディレクションを担当。