こんにちは、ぞのです。これまでマーケティングの部署ではたらいく、とらばーゆ、リクナビ派遣の集客を担当してきましたが、10月から開発部にてエンジニアになるべく、日々奮闘中です。
先日エスノグラフィ研修を受けてきましたので、レポートしようと思います!

エスノグラフィとは何か?

「エスノグラフィって言葉、初めて聞いた」という方も多いかもしれません。一言で言うと、「そこにいる人々からみて、世界はどう見えているのか?」を理解するためのものです。

エスノグラフィは、もともと文化人類学や社会学で使われてきた調査手法です。調査対象者と長期間生活をともにしながら、民族や風習など「ありのまま」の普段の生活を観察し、理解することを目指します。

マリノフスキー
参考:http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131108/255650/?rt=nocnt

上の写真はエスノグラフィを確立したといわれる人類学者のマリノフスキです。このように現地に溶け込んで、彼らの生活を追体験しながらエスノグラフィを執筆します。私も大学時代に文化人類学を専攻しており、卒業論文では限界集落に実際住んでみてエスノグラフィを書きました。

もともとはアカデミック色の強かったエスノグラフィですが、人間中心のイノベーション、価値創造のための重要な手法として、ビジネスにも応用されるようになってきています。

なぜエスノグラフィが必要なのか?

「人々が言うことと 人々が行うことと 人々が行っていると言うことはまるで違う」からです。これは有名な文化人類学者のマーガレット・ミードの言葉です。「本当にカスタマーが求めているものは何なのか?」という問いに対して、従来の定量調査だけでは見えてこない部分をカバーするのがエスノグラフィだと思います。

顧客のことを理解しサービスを改善していくためには、仮説をたて、サイトの解析やアンケートといった統計的に把握する定量分析を用いて検証していく「仮説検証型」のアプローチをとることが多いと思います。リクルートジョブズでもそうです。エスノグラフィはそれとは対照的に、観察やインタビューといった定性調査を重ねるなかで、想定していなかった新しい仮説を見つけ出す「仮説発見型」のアプローチです。「カスタマーが求めているのって、本当はこれなんじゃないの?」と新しい視点を生み出すのです。ただ、どちらにも一長一短があるので、目的や場面によって適切な手法を取り入れていくことが重要だと思います。

具体的にどういうことをするのか?

エスノグラフィでは主に

  • フライオンザウォール(壁のハエ) → 対象者の行動に関与せず、見たり聞いたりできる振る舞いからデータを集める
  • シャドウイング → 対象者に「影のように」寄り添って追跡し、同時に物事を経験してみる
  • 参与観察 → 自分のその場の一員となってみて、実際に経験をする

といった手法を用いて、調査対象者の視点から見えている世界はどうなっているのか、深く理解していきます。

実際に研修でやったこと

スクリーンショット
エスノグラフィを用いたプロジェクトで必要とされる上記一連の流れを、ミニプロジェクトを通して実践的に学びました。今回の研修のお題は、家庭における映像・オーディオ機器利用に関するリサーチ。オーディオ機器メーカーになったつもりで、「カスタマーが真に求めている商品はどのようなものなのか?」を考えました。

①プランニング

  • プロジェクトのゴールの設定
  • ライブラリワーク
  • チーム選定
  • 調査対象者のリクルーティング
  • インタビューシナリオの作成

などを行います。このとき注意することは、決してフィールドワークの前に仮説を持たないことです。自分の仮説を検証するために調査対象者を誘導するようなインタビューシナリオを描いてしまうと、せっかくのエスノグラフィ調査が台無しになってしまいます。エスノグラフィは新しい仮説を発見するために行うのだということを忘れてはいけません。

②フィールドワーク

今回は調査対象者の方のお宅を訪問し、普段通りにオーディオ機器を使用している様子を観察させていただいたり、インタビューをさせていただいたりしました。ビデオやカメラを使って、記録も残します。

③分析

各自が作成したエスノグラフィやビデオ、写真の記録をもとに、観察エピソードを共有します。そして、それらのエピソードが示している課題やテーマを考えていきます。
ホワイトボード

やってみてわかったこと

「人々が言うことと 人々が行うことと 人々が行っていると言うことはまるで違う。」

繰り返しになりますが、この一言に尽きます。

今回の調査対象者は、「家にホームシアターを導入し、スピーカーを自作している方」という風に事前に伺っていました。これだけ聞くと、「とてもスピーカーにこだわりのある方なんだろうな」と思うかもしれません。しかし、実際にお宅に訪問して見せていただいたスピーカーは、なんと放置されカビが生えていたのです…。このような事実は、実際に見せてもらわないとわからなかったかもしれません。また、最後に調査対象者の方が「なんかいろいろお話してみて、自分でこうなんだーと気付きました」とおっしゃっていたのが印象的でした。普段の生活の中で、自分はこういう人間だ!というのを自覚し言語化できている人はそう多くないと思います。人々が言うこと、行うこと、行っていると言うことは本当にまるで違うのだなと感じました。

まとめ

この研修を通して一番印象に残ったのは、「カスタマーが間違ったのではなく、作る側が間違っている。」という講師の方の言葉です。テクノロジーやプロダクトありきでカスタマーが慣れるように仕向けるのではなく、「カスタマーが真に求めているものは何なのか?」を知り、価値のあるサービスを作っていく必要があります。そして、その仮説を発見するために、カスタマーの視点から物事を捉え直してみる手法がエスノグラフィなのです。とはいえ、カスタマーが真に求めているものを深く理解できたとしても、それを実現する力がなければ意味がありません。「働きたい」にまつわるカスタマーの不を解消するべく、新人エンジニアとしてもっとITのことを勉強していこうと思います。エスノグラフィを生かした取り組みも、これから何かできたらと思っていますので、またご紹介します!

筆者プロフィール
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松薗美帆

IT戦略室 カスタマウェブ開発部 カスタマウェブ開発3G
2014年4月に新卒入社。IT戦略室デジタルマーケティング部にてはたらいく・とらばーゆ・リクナビ派遣の集客を担当したのち、2015年10月から現部署。